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2011年06月15日

加藤 淳子さん/糸・クラフト用品専門店「ておりや」 主宰

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★「ておりや」は

  人のつながりを織り上げた

         織物のようなお店


大阪の中心・梅田から一駅、「南森町」界隈に来られたことはありますか? 「大阪天満宮」が鎮座するそばを日本一長い商店街「天神橋筋」が走り、高いビルも立ち並ぶ…。そんな新旧の大阪が顔を見せる所です。

その一角に私が店を開いたのは1977年。まずは知人のお店の一角を借り、糸を並べて売り始め、数年後に現在の場所へ移りました。町屋のような細長いビルの1階は店舗、2階は手織り・編み物教室、3階が事務所。現在はスタッフも13名に増えました。窓から見えるこのちょっとカオスな街並みにもすっかりなじみ、“わが町”という感覚になっています。

 *  *  *

私が織物に興味を持ったのは高校生のころのこと。縦横に走る“線”のような糸が重なり合って“面”を作るのがとても面白く感じられ、趣味として「手織り」を始めました。ところが欲しいと思った材料や道具が揃うお店がなかなか見つけられず…。それなら自分でお店を作ろうと思い立ったのです。ただ、当時は社会に出て間もない二十代前半、商売のノウハウがあるわけでもなく、織りや糸についての知識も乏しくて、何をするにも手探りでした。

そんな私に力をくれたのが、多くの人との出会いです。最初は手に入れられる織り糸を見繕って仕入れる小さな商いでしたが、そこにも足を運んでくださるお客さまがいらっしゃいました。そのお一人お一人と接するうち、もっと喜んでいただけるよう、ここに来ればいつでも揃うオリジナルの糸が欲しいと考えたのです。一方、今も取引している糸の業者さんがオープン当初から訪ねてくださるようになり、その方々の力も借りながら、数年後に第1号のオリジナル糸を誕生させることができました。

機(はた)や道具の知識も深めたいと夜、店を閉めたあと京都・西陣の機屋さんに通って教えを乞いました。また覚えたい織りの技法があれば、エキスパートの方を紹介してもらい、集中的に特訓を受けたり…。まさに走り続ける日々でした。


★北欧へのこだわり

   本場のクラフトの魅力を伝え

             社会に還元を


日本でも「北欧デザイン」はよく知られるところとなりましたが、テキスタイル技術でも非常に優れた伝統を持ち、「本格的に勉強するならスウェーデンで」という人も多いクラフトの先進地域なのです。

その本場の手仕事を愛好家の皆さんに直に見ていただきたいと、94年からは手工芸をテーマにした北欧ツアーを企画。これまでに回催行しています。15回を重ねる中で、現地のアーティストや染織雑誌の編集長、昔ながらの紡績機でウール糸を作る会社のオーナーなど、さまざまな人とのつながりが広がってきました。

 *  *  *

2008年にはグランキューブ大阪(大阪国際会議場)で、創業30周年記念イベント「織りと手仕事の世界」を開催し、スウェーデンの著名な織り作家を招き大作を展示、ワークショップも行いました。併催の公募展に寄せられた作品は200点超。国内だけでなく欧米やオーストラリアからの出品もありました。

主旨は“本物”の素晴らしさをお伝えすること、そして“糸”で表現する喜びを分かち合うこと。その根底には、これまで支えてくださった方々への感謝、それを自分ができるかたちで社会に還元したいという思いがありました。おかげさまで予想を大きく超える来場者を迎え、盛会のうちに幕を閉じました。

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 *  *  *

それまでにもいろんな催事を開いてきましたが、ここまで規模の大きなものは初めて。慣れないことゆえ、大きな労力を要しました。

振り返ってみれば開店当初や、二人の子供の子育て期間など “大変”な時期は他にもありました。でも私はそれがストレスにならないのです。私にとって“大変なこと”は“嫌なこと”ではなく、やりたいことをやり遂げるための充実した時間。悩みというより一生懸命いいアイデアをひねり出す1ステップ。心の“向き”をそんなふうに変えるだけで、きっと毎日が違ってきますよ。

今、また次のプランに向けて行動を開始。“大変”楽しい、わくわくした日々を送っています。


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投稿者 green_heart : 09:33 | コメント (0)