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2015年10月15日

平川 美鶴さん/和ハーブライフスタイリスト

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 私は今、「和ハーブ(※)」と呼ばれる日本の有用植物の普及に関わらせていただいています。特に日本(人)の歩んできた歴史民俗と植物との関係をよりどころにしながら、現代にもごく自然と和ハーブがある暮らしを。そんなライフスタイルを追い求めている最中です。
 
 和ハーブというと一般的には、食やお茶で多用されるようなヨモギやチャノキ(緑茶)、シソ、ユズなど香りのよい植物素材を始め、民間療法の薬(和薬)としてのゲンノショウコやセンブリ、ドクダミなどが含まれますが、それだけに限りません。例えば入浴・化粧・日常道具・神具・紙や美術品・住環境などの素材にも和ハーブが多用されており、じつに豊かに、私たちの暮らしを彩ってくれています。和ハーブは古来より続く“日本の文化遺産”として、世界に誇るべき宝物といえるでしょう。

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 こうした植物は自身の生存と種の継続のために、根を下ろした環境に合うようなフィトケミカル(植物化学)成分を作りだしています。植物が「 独立 栄養生物」と呼ばれる所以です。「 従属 栄養生物」である私たち人間はその恩恵にあずかり、新鮮な酸素や栄養分をいただいていのちを維持しています。つまるところ、人は植物によって生かされているのです。土地に育つものをいただくことは、そこに生きる私たち人間にとって最適な機能性成分を摂取する方法でもあります。

 この「食べる」行為は生きることに直結します。かつて長寿県で知られた沖縄には「命薬(ぬちぐすい)」という言葉が今も受け継がれているのですが、自分らしい心身を養うものは、生活する土地の食材に秘訣ありとされています。またインドのアーユルヴェーダの言葉でも「三里四方(さんりしほう)」、つまり周囲12km四方のなかで採れる食材をいただくことが体によいとし、世界中でこうした視点が大事とされています。つまり健康を意識した食習慣は、自分の生活範囲に育つ旬のものをいただくことが第一歩といえるでしょう。

 現在は仕事柄、日本中のさまざまな地形・植生・風土に触れる機会をいただきます。山や川、草花や樹々のある場所へ行き、植物や生物を観察したり、大きく深呼吸をしたり、一緒に仲間と笑い合って歩くのはとても楽しく、こころとからだが整うしあわせな時間でもあります。そんな活動の中で気づいたことは、“環境が人をつくり、人が文化を創る”ということです。
 
 和ハーブに詳しい方々は一様に、足元の植物たちを深く信じ、慈しみ、イキイキと自らの人生を謳歌されています。さまざまな気候風土と順応しながら生きるしなやかな彼らの姿こそ、日本人らしい生き方を体現していることに気がついたのです。私もそうでありたい。拙書のサブタイトルに“あなたの日本がもっと素敵になる”と名付けたのも、和ハーブと出会ったことによって、私自身の中の日本がより輝きだし、生まれ育ったこの国・土地を大切に思えたからです。こうして日本の植物を通じ「からだ」「こころ」に向き合う毎日は、人としての原点をも意識させてくれるのです。

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 日本人の自然に対する感性は、私たちの遺伝子に備えられた記憶のギフトであると思っています。先人たちの遺してくださった生きる知恵こそが、今を生きる私たちを輝かせてくれるのでしょう。私たち一人ひとりには個性や尊い価値がありますから、それぞれが今この時にできることを全力で為すべきです。そうしていれば、本来の力が活かされ、こころとからだのバランスも保たれるに違いありません。だからこそ、そうした行動の起点にある「健康」が、いかに大事であるかに思い至ります。

 私もここ数年、旧暦のリズムに沿った暮らし方をするように心掛け、生活に和ハーブを採り入れたことで、流れゆく季節の変わり目にも敏感になり、病気になりにくい先読みの予防意識が高まりました。これも少し昔の日本に置き忘れてきた和ハーブの教えです。

 これからも私は、和ハーブとそこに関わる方々を師として、日本人ならではのこころとからだを生かす智恵を今にどう活かすかを考え、実践していきます。そして次の世代へ和ハーブ文化を受け渡す活動を着実に続け、真摯に和ハーブの世界を追い求めていきたいと思っています。

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※)「和ハーブ」は株式会社ルーシーダットンの登録商標です。「日本在来種または江戸時代以前より広く暮らしに活用されてきた有用植物」を指す、一般社団法人和ハーブ協会の定義に基づいています。

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Mitsuru Hirakawa
和ハーブライフスタイリスト
一般社団法人 和ハーブ協会 理事

幼少からの植物好きが高じて、ハーブやアロマテラピーなどの植物療法の世界に目覚める。日本の足元の植物“和ハーブ”の価値を伝えるべく、協会立ち上げ期より中心スタッフとして活躍。現在は各種講座・講演、地域振興プロジェクトで日本全国を飛び回りながら、「日本人と和ハーブ」の関係性を文化・薬効・産業利用などの様々な面から研究。雑誌・WEB記事連載、ラジオなどメディア出演多数。共著『あなたの日本がもっと素敵になる 8つの和ハーブ物語 〜忘れられた日本の宝物〜』(産学社)

一般社団法人 和ハーブ協会 http://wa-herb.com  
東京都港区麻布十番3-3-8 麻布共和ビル4F
TEL 03-6435-3863

投稿者 green_heart : 2015年10月15日 10:15

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